生産性

【お客様の言いなりになるな】「100円のコーラを1000円で売る方法」から学ぶ自分の市場価値を上げる方法

「全てはお客様のため」

「お客様は神様」

「お客様にはNOとはいいません」

どんな仕事をしていても必ず仕事をしている先にはお客様が存在します。お客様がいるからこそ僕たちは給料をもらい、生活が成り立っています。裏を返すとお客様がいないと給料はもらえないですし、僕たちの生活も成り立たなくなってしまいます。

そのため、僕たちは基本的にはお客様に満足していただけるように仕事をしていかなくてはなりません。

 

しかし、時としてお客様のためにと思ってお客様の言いなりになってしまうケースがあります。

お客様の言いなりになってしまうのはその場ではもしかしたら評価は高くなってしまう可能性がありますが、長期的に見るとお客様からの満足度は得づらくなってしまい、結果としてお客様から離れられてしまう可能性があります。

 

僕自身新人や2年目の頃、まさしくこのお客様のため=お客様の言いなりになるといった状態になってしまい、最終的にそのお客様への提案はうまくいいきませんでした。そんなとき当時の上司から勧められたのが、「100円のコーラを1000円で売る方法」」という今回ご紹介する本。

この本を読んだことで始めて自分自身のしていたことはお客様のためにと思いながらも一番ラクで手を抜いたやり方だったんだと思い知らされました。

 

今回紹介する本を読むことで一歩視座の高い視点でお客様のために何ができるのかということがわかるようになります。

ぜひ実際に読んで頂いてほしいので今回はこの本で紹介していいる、実際に自分が実践していることと照らし合わせて紹介していきます。

 

あらすじ:営業からすごい人が来た

この物語のメインとなるのは駒沢商会という会計ソフトベンダーの商品企画部になります。

そこにさっそうと転属してきたのが本作の主人公である「宮前久美」。彼女は転属元の部署ではトップクラスの成績を誇っていたが、その手法は非常に荒く、度々問題にもなっていた。そんな彼女が会社の「ゴミみたいな」会計ソフトを自分が売れるものにしてやると息巻いて商品企画部に転属してきた。そして転属してきた商品企画部で「与田誠」という社員と出会い、マーケティングの基礎について学んでいき新しい商品を企画するという流れで話が進んでいきます。

 

実際に読むとわかるのですが、主人公の宮前久美がかなりの曲者なんです。契約を取るためにキーマンの家の隣に引っ越したり、周りの話を聞かずに人をこき使って自分の思い通りにことを運びたがるような人間で契約を取ることにおいても手段を選びません。

 

極端ではありますが、つまり「契約をとってしまえばこっちのもの」と考える人間です。これ以外と他人事ではなく、思い返せば自分自身もお客様が提案を受け入れてくれればそれでいいと考えていた時期があったので、彼女をあまり馬鹿にできません。そんな彼女が与田誠と出会ってどのように変化していくのかは実際に本を手にとって見てください。

 

お客様の要望をすべて叶えてもお客様の満足度はゼロ点

選ばれたのはお客様の要望に応えない提案だった

本書では宮前久美がとあるお客様との商談を進めていくシーンがあります。彼女はお客様の要望をすべて聞いて決して「No」とはいわないというポリシーのもと、お客様からの要件書にすべてに○がつくように、更には価格も9割引きと思い切った提案をしていきます。しかし、その提案は結果的に不採用になってしまいます。そして採用されたのは要件を全く満たしておらず、かつ最も価格の高かった競合の提案でした。

 

今回の商談で宮前久美の提案が採用されなかったのはお客様の挙げた要望しか叶えなかったため。お客様からは提案としてはすべて要望に答えてくれた上に価格も安くしてくれたので一見良い提案のように見えますが、お客様からするとあまりおもしろくない提案だったようです。

一方で競合の提案は一見、要望に全く答えていないうえに価格も高いのであまりいい提案のように見えます。しかしそれでも提案を採用したのはお客様にとって価値があるためでした。

この価値がお客様によってどこにあるのかは変わりますが、今回の競合の場合、長期的に見た場合にお客様のコストが下がるためことに価値を感じて採用したみたいです。

 

 

お客様からの要望を叶えることは価値にならない

本書では「顧客満足の式」というものが登場します。

これはお客様の満足度がどのくらいになるのかをかんたんに表現した式なのですが、式自体は単純です。

 

顧客満足度=お客様が実際に感じた価値ー事前期待値

 

つまり、お客様に感じていただいた価値がもともとのお客様からの期待値を超えていないと顧客満足度は上がらず、ゼロのままなのです。

宮前久美の提案はお客様の事前期待値、すなわち要件に対しては全て答えていましたが、それ以上のことはしていないのがわかります。

 

つまりお客様の顧客満足度はゼロに近かったということです。(強いていうなら提供価格は安かったことに関しては期待値を超えていたが、それも長期的なスパンで見れば競合の提案の方がコストが下がることからゴミみたいなものとお客様から言われてしまっています)

 

お客様のためになるにはお客様の抱えている課題をいかにみつけられるかが鍵

事前期待値を超えるにはお客様の想定していること以上のことを提示しないとむずかしく、それを見つけるにはお客様の抱えている課題を掘り下げていかなくてはなりません。お客様から出た要望というのは結局のところ、お客様の悩んでいる課題をお客様の中で検討した結果、こうして欲しいと挙げられたものであり、あくまでも表面的なものです。

 

もちろん、要望を叶えることは大事ですが、そこだけに着目してしまうと、提案も単純な機能比較と価格競争になってしまいます。価格競争にまでなってしまうと、商品の価値は下がり続け利益は減り、提案の労力にあったリターンがどんどん小さくなってしまいます。

 

お客様としても価格重視であればもしかしたら価格を下げれば選んでくれますが、本来であればお客様自身の抱えている課題を解決したいからこそ提案を受けているのであって、真に求めているのは高機能で安いものや機能ではなく課題を解決する方法なのです。つまりお客様の要望にしか答えていないということはすなわちお客様のためと言いながら全くお客様のために提案できていないということになります。

 

お客様はなんでこの製品やサービスがほしいのか。本質的な課題はどこなのか、そこを掘り下げることで本当はお客様としてはどうしたいのかが見えてきます。そこを見つけることができればきっとお客様の満足する提案をすることができるはずです。

 

お客様の課題の見つけ方は探せばいくらでもある

ここからは個人的にこの本を読んで気づいたことから実際に実行している、お客様の課題の見つけ方をいくつか紹介していきます。

ざっくりと実際にやっているのは以下になります。

お客様から提示された要望の深堀り

全体の市場の流れから業界の課題を読み解く

お客様の競合他社の調査

 

お客様から提示された要望の深堀り

もし具体的にお客様から要望を提示されたのであれば素直に応じるのではなく、ぜひ一歩深堀りして行くと本当にやりたいことがなんなのかが見えてきます。

 

わかり易い例で紹介します。

お客様の要望としては安い商品を提供してほしいというのが要望とします。具体的に価格がいくらと提示されるかもしれません。もしこういった要望をいただくようでしたら、価格をその価格で提供するというのも一つの正解かもしれません。しかしそれでは競合との価格競争に陥ってしまいます。

 

そこでぜひとも着目してほしいのが、どうしてその価格でないと駄目なのか。もしかしたら、年間の予算に限りがあり、新規で商品を購入する価格があまりないのかもしれません。はたまた、今まで使っていた商品がその価格で使っていたからかもしれません。必ずその要望の裏には理由があるのでそこを深堀りすれば必ず最適な提案ができます。今回の場合であれば、年間の予算の中のどこに負担がかかっているのかを更に深堀りすれば、もしかしたら人件費に多くの予算が費やされてしまって新しい商品を購入する余裕がないのかもしれません。ここがまさしくお客様にとって解決したい課題になります。

そうなると例えば、導入価格だけでなく、長期的に使用した際に結果として人件費が下がることを提案しそこにお客様が価値を感じてしまえば必ずしもお客様から提示された価格に答える必要はないのです。

 

「その価格で頑張らせていただきました!」ではなく、「この商品を活用することでに人件費が削減され、御社のコスト改善に貢献します」といったほうが価格で選ばれる会社ではなく、お客様の利益になる価値を提供してくれる会社として認識され、長期的に見ても信頼される関係に持っていくことができます。

 

全体の市場の流れから業界の課題を読み解く

前述の方法より確実性にはお取りますが、外からの情報を基にお客様の課題を推察することもできます。市場全体の流れを知ることができれば業界全体の課題を知ることができ、より普遍的な課題を見つけることができます。

 

これも例を出してみます。

今世間では少子高齢化や労働人口の減少に伴い、会社は労働者が集まりにくくなっているといったこと全体の市場の流れとします。となると企業としては大きく分けて2つの方向感で取り組むことになります。一つは人をどのようにして集めるか。もう一つは今いる社員でいかに効率化するか。そしてこれはそのままお客様の課題となっていきます。

前者は人材系や人を集める仕組みがないと提案をするのが難しいと思いますが、後者であれば提案できる企業は多いと思います。前述した人件費的なアプローチでもいいと思いますし、「この商品を使うことで10人で行っていた作業を7人で実現することができます」といった提案をすれば、その手の空いた人材で別の業務に割り当てさせられるなどこれもお客様に価値のある提案になります。

 

業界全体の課題を見つけることができれば、提案の横展開もできますので、提案の「勝ちパターン」、「売り文句」を作ることができます。しかし、これはあくまでも共通的な課題を見つけるためには活用できますが、最終的にはお客様個別の課題に落とし込んでいくことが大事だということは忘れてはいけません。

お客様の競合他社の調査

お客様の競合調査をするのもお客様の課題を見つける参考になります。

 

例えばお客様の競合が新しいサービスを開始したとします。お客様としてはそれでシェアを取られるのはなんとしても避けたいと考えるとした場合、競合へのキャッチアップをしたいと考えます。そうなった場合課題になるのは新しいことをするにあたって人件費やコスト、開発費が新規でかかってくるということです。限りあるリソースの中で新しいことを以下にして実施するか、これがお客様の課題になります。

これがわかれば、次にお客様がどんなことに取り組もうとしているのかがわかるようになるので、課題と最適なアプローチが可能になります。

 

ただこのときにお客様の前で競合の話をしないようにしないと入りから怪しまれてしまうので注意は必要です。

 

ちょっと番外編:飲みニケーション

基本的に僕が行っているのは上記3つですが、お客様と仲良くなるというのも課題を発見するというのも一つのアプローチとしてあります。お客様と親身になっていけば何気ない話にお客様の課題が隠れていることがあったりします。実際飲みに行くほどの仲にまで行けばお客様からの信頼を得ているので、お客様から価値を感じてもらっている状態なんですけどね。

しかしここまでの仲にまで行けばあなた個人に価値を感じているのでお客様側から仕事や課題についての相談が勝手に向こうからやってきます。そうすると更にあなたの市場価値は上がっていくこと間違いないです。

 

新社会人、就活生にぜひとも読んでほしい

最後に個人的に読んでほしいと感じたのは新しく会社につとめる社会人や、会社に入ろうとしている就活生にぜひとも読んでほしいと感じています。

もちろんすでに中堅の社会人も十分価値にはなると思いますが、まだ自分が相手にどんな価値を提供できるのか、どんなことに相手は喜んでくれるのかを理解するのに本書は非常に役立つと考えています。

内容自体も非常にわかりやすく、ストーリーチックに構成されているので内容もすっと入ってくるはずです。

 

ちなみに漫画版もございます。こちらから入って見るものおすすめです。(僕は漫画から入りました。)

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